呆丈記

呆れたものがたり

怠惰憎

 余り良いことではないが、早く死んでほしい人物がいる。

特にそいつに何かされたわけでもない、恨みも無いが不幸になって地獄に落ちて欲しいと願っている自分がいる。

 

 仕事帰りに同僚3人と食事に行くことになった。最初はよくある定番の業務に対する愚痴の吐き出し合いであったが、その流れでついウッカリとそいつの名前が出た瞬間に『早く死ね』と口走ってしまった。

 

 

私は『しまった』と思ったが、そこで会話が全員止まり奇妙な沈黙がしばらく続いた。

 

 

『俺もだ・・・・・』

 

 

その沈黙を最初に破ったのは、みんなとの食事を提案したSであった。

 

 

その後は次々とほかの全員が同じことを思っていた事を口にしだした。

 

 

 

沈黙したのは私がみんなの心を読んだかのように心境を声に出したからだった。

 

 

 

 当然、その場に居合わせた全員がその人物に恨みがあるわけでもなく、なにかされたわけでもない。

 

 

 

でも『消えてほしい』『死んでほしい』と言った願望は共通していた。

 

 

 先日、その人物が体調不良を起こし少し遅れて出勤するとの連絡が入った。

 

2時間近く経過して、青い顔をして現れた彼に誰一人として心配した様子もなく、『早くしろ!』の一喝だけだったのが怖かった。

 

 

 

 

彼は確かに普段の言動や態度の一つ一つが宜しくないのは事実。

 

だからと言って直接迷惑をかけているわけではない。

 

 

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ただこの船に乗り合わせた悲劇の主人公なだけだ。