呆丈記

呆れたものがたり

辿り着いた永遠

 私には切羽詰まった時やこころに余裕の無くなってしまった時に訪れる、お気に入りの場所がある。

 

森の中の大きな湖を眺めながら、水の流れを見る。

 

 

ほんの数分で帰ってしまう時や、半日ちかく居ることもありそのときによってまちまちだ。

 

 

自然の中だからとか、日光浴をしているからではなく、よく行くラーメン屋や食堂のいつも座る【定位置】のような感覚に近い。

 

 

そこは35年も前に初めて訪れた時と何ら変わらない佇まいでいつも私を招き入れる。

 

 

営業しているところを一度も見たことが無い、廃墟のレストランもずっと35年間そのまんま。

 

 

しかし遂に時は動き出した。

 

 

湖にたどり着くまでにあった、道路沿いの2軒しかなかったお年寄りの家が両方とも空家になっていて雪に埋まっていた。

 

家主は入院したか子供らと同居したか、あるいは亡くなってしまったのかも知れない。

 

 

水の流れだけではなく【時間】も確実に流れている。

 

 

立ち止まれば、それは【残酷】と変貌を遂げる。

 

 

 

 

一刻一刻と刻まれる瞬間の痛みを緩和するために我々は常に歩き続ける。