呆丈記

呆れたものがたり

高圧送電鉄塔の怪

 実家の前に巨大な高圧送電鉄塔が仁王立ちのようにそびえ立っている。遠くの山の上から見れば『ああ・・あの下が我が家だ』と、こどもの頃はよく目印にしたものだ。

 

この下を線路が通っていて、今では無くなってしまった東京・上野まで行く群青色の夜行列車が往来するのを毎日あこがれて見ていた。

 

 

当然線路には架線が張り巡らされており、列車はそこから電気を供給する。

 

天候の悪い日や夜間は高圧線と架線が『バチバチ』とものすごい音を立てている。

 

我が家では以前お米屋さんが月に一度お米を届けてくれていたが、米屋の主人が入院して配達できなくなった際の代わりに来た奥さんが、この『バチバチ』と鉄塔の高さに圧倒されて配送を拒むようになった。

 

 

 先日亡くなった母親はこの下に約28年間ものあいだ住み続けた。

最初の15年間はパートをしていたため、週に4日間の朝9時~夕方4時までは家におらずにそのまま買い物に行って、夕方5時半頃から夕飯作りのため帰宅していた。

 

しかし交通事故に遭ってからはパートが出来なくなり、15年前からは一日じゅう家にいることがほとんどだった。

 

常にこの家にいるのは母親だけだった。

 

 

 母の死因は白血病だった。

 

年のせいと言えばそれまでではあるが、世間一般の65歳はまだまだ元気な人がほとんどである。

 

 

 

私が実家に来て今年で10年になる。

酒も飲まないのに肝臓が悪い、たまに激痛で夜中に目覚める。

 

ラーメンのつゆを飲むのをやめても、しょっぱい食べ物をかなり控えようと肝臓はなお腫れ上がる。

 

休みの日に家に一日中いると頭痛で頭が割れそうになる。だから2日ある休みのうちのどちらかは、必ず遠くに出掛けるようになった。

 

頭痛で睡眠障害を患った。5時間寝れればかなり凄い方にも関わらず、24時間営業のスーパー銭湯の古くて硬いリクライニングチェアーでは8時間ぐっすり眠れた。

 

 

関係があるのか無いのか因果関係は不明・・・・

 

 

今ではこの鉄塔がすっかり墓標のようになってしまった。