呆丈記

呆れたものがたり

 仕事の配送中に泣いている女児を見つけた。

 

『てめぇふざけんなよ!』母親と思われる二十歳前後の真っ赤な髪の女性は、幼稚園ほどの女児を怒鳴り付けた後、アパートの中に入って行った。

 

 

状況から察するに、車のシートにジュースをこぼしてしまい怒られたようだった。

 

 

私はちょうど同じジュースを持っていたので、それを女児にあげた。

 

最初は驚いた表情をしていたが、『ありがとう』と言ってジュースを見つめていた。

 

 

 

 

 母親が雑巾を手に出てきて娘がもう1本ジュースを持っているのに気付くと、私を睨みつけて再びアパートに入っていった。

 

 

凄い勢いと共に扉が開き、体に刺青が入った黒いタンクトップのモヒカン男と共にアパートから出てくると、私の上げたジュースを奪い取り地面に激しく叩きつけた。

 

 

そして私の乗ってきた社名入りのバンを『ジロジロ』見てから、じぶんのくるまに乗りものすごい勢いで発進していった。