呆丈記

呆れたものがたり

ながいいちにち

 休日は二百キロ以上離れた故郷まで墓参りに行ってきた。

 

道中は渋滞が続き、高速道路は事故やら故障車やらで通行止めになり全ての車は国道に集中していった。

 

 

 途中から渋滞は解消されたものの、約5時間半かけてたどりついた時にはすでに午後3時を回っていた。

 

 

 

 お墓は急な坂の上のお寺の裏に広がっている。お寺の敷地に車を止めて階段で昇る東のルートと、そのまま車で坂を上り墓地内に入る西ルートがある。

 

 

普段の墓参りは西のルートから行く。なぜならお参りする2基の墓石とも道沿いにあり、車が横付けできて準備に便利なのだ。

 

 

しかしお盆や彼岸はたくさんの墓参りの人がいて、迷惑にあたるために東側のルートで行くことにしている。

 

 

西側ルートの入口の木の下に、椅子に座って居眠りをしているじいさんがいた。

恐らく、ゴミの処理 兼 誘導約なのだろう。

 

 

階段を上っている途中に『線香』の匂いがだんだん濃くなってくる。

それと『仏花』の甘い香り。

 

 

階段を上り切った私は違和感に襲われた。

 

 

 

墓石には多くの花が飾られていれども、人が誰一人いない。

 

急に怖くなり階段を駆け下りて、車に飛び乗り近くの町営公園に向かった・・・

木の下にいたじいさんはいなくなっていた。

 

 

 公園には親子連れやお年寄りで賑わっていた。

フリスビーを追いかけてキャッチする犬をぼんやり眺めているうちに、気持ちが落ち着いてきた。

1時間も経過しただろうか?再び墓地に向かう決心が着いたのは・・・・

 

 

 

 再び寺に着くと今度は車を止める場所が無いほど混んでいた。

 

線香のにおいだけでは無く、あちこちから聞こえる読経を唱える声。

 

階段を上り切る前に何人ともすれ違う、墓地には大勢の人があふれていた。

 

 

さっきまでじいさんが座っていた木の下には、ゴミ用?の青い古びたドラム缶が置いてあった。