呆丈記

呆れたものがたり

詰む詰む

 両親を亡くし、ひとりたくましく生きる村の青年【吉作】は、崖の岩肌に生える『岩茸』を採取して売り生計を立てていた。

 

ある天気の良い昼下がり、早めに昼飯を食べ終えた吉作は今まで行った事の無い断崖での採取を試みる。

 

 

吉作の読み通り、その断崖絶壁にはたくさんの【岩茸】が生い茂っていて、また同業者も来ない穴場に心浮かれていた。

 

夢中で採取する吉作だったが、疲労がピークに達しはじめた矢先にふと下を見るとちょうど腰をかけられそうな岩棚を見つける・・・・・・

 

 

 

            吉作落とし

 


www.youtube.com

 

大分県傾山に伝わる昔話、吉作落とし

 

たった一度のミスが取り返しのつかないことになる恐怖。

 

 

誰も手をつけないのは何故?なのかを考えない行動。

 

 

 

 

吉作はどうする事も出来ない状況下で、冷静な判断を失い究極の選択に迫られてしまい、出来ない事をできると錯覚してしまい命を落とした。

 

 

給与30万はうそだから行くなと引き止めた『自動車製造期間工』の派遣労働。

 

全財産ばかりでは無く、身も心も捧げて膝まづいて新興宗教に入信した彼ら。

 

何故か?コロナ禍で飲食店やBARを開業して当たり前のように多額の負債を抱えて破綻した経営者たち。

 

(私の知り合いが命を落とした実例)

 

 

ひとは追いつめられると、究極の選択に迫られできもしない事を出来ると錯覚してしまう。

 

 

 

吉作は確かにどうにもならない状況ではあったが、連日叫び続けて体力を消耗せずに待ち続けていれば可能性はゼロでは無かった。

 

同業者も手を出さない危険な断崖絶壁の危険度の認知不足、いのち綱でもある手綱の余裕を持った長さの確保、そしていざと言う時のための村人とのコミュニケーションが足りなかったのではないか?

 

 さすがに数日間も【岩茸】採りから帰ってこないと普通は近所の住民が『遭難』したんじゃないか?と探すと思う、しかしその描写もないことから吉作は村では嫌われ者だったか、確執でもあったのだろうと推測できる。

 

 

岩茸は生薬としても用いられるらしく高値で売買されるため危険を承知の上で崖に登る者も多かった、つまり同業者というたくさんの岩茸採りが山にいるにもかかわらず、誰も吉作の断崖には来ていない時点でおかしい。

 

 

危険な作業は、万が一の時のために昔から複数名で行うのが一般的では無かったのだろうか?しかし吉作は自分の取り分が減るのを嫌い単独で山に登ってたのではないか?

 

 

 

しかし私のように慎重すぎて『石橋を叩いて壊す』タイプが一番つまらなく、そして進歩の無い人間の代表格なのだろう。