夢の中で仕事をしている自分に気付く、あぁなんてついていないんだろう・・・・
仕事から帰ってきてまた仕事・・・そんな事を考えながら仕事をこなす。
見慣れた街並みとどこか違うそんな違和感を覚えながら夢の中の時間は過ぎてゆく。
国道にもかかわらず交通量がやたら少ない、上下線共に1分間に2~3台程度しか通らず、しかも車種も15年落ちくらいの旧い車種ばかりなのが目に付く。
人も当然ほぼいない正確には生身の【人間】が少ないだけで、アンドロイドのような【亜人間】は結構いる。
特徴としてはマネキンのように微動だにしないが、半径2~3メートルくらいに近づくとふつうに動き始める。
まるで駅のエスカレーターのように人が来るまで待機しているような状態で、なぜそのような状態なのかは解らない。
この世界の時代背景は【現世】と同じくらいだが、だれも『スマートフォン』を操作しているところを見ないという事は、おそらく存在していないのではないか?と感じた。
ちなみに私は【現世】でもガラケーなので不便は無い。
私を含め他の世界から来たと思われる人は、アパホテルのような大きなビジネスホテルに宿泊していた。
夕飯は豪華なバイキングで、大広間に10数テーブルが点在し各テーブルに料理人がいて色々な料理を振舞うという形式だった。
知り合いがいない私は、早々と会場を後にする。
途中4階で女性が持っている鍵を、手あたり次第の部屋の扉の鍵穴に差して開けようとしている光景に遭遇する。
鍵にはセキュリティー上?部屋番号が明記されておらず、頭の中の一時記憶に記録されるらしいが、女性はその記憶が消えてしまい自分の部屋がわからなくなってしまったと言っていた。
翌日、見たことのある顔を見つけて追いかけて声をかけた。
【現世】で一緒に働いているおじさんだった。
しかしおじさんは私の事を一切知らず、面識もないらしく違う仕事をしていた。
車の話をするとやはりこちらの世界でも車が好きらしく、意気投合して一緒にカー用品店に行くことになった。
カー用品店は想像していたものと大きく剥離しており、地方の公民館のような昭和ちっくな建物の2階にテナントとして出店していることに驚いた。
『車のLED電球がほしいんだ』
店内をくまなく探したが、それらしい商品は無かった。
『店員さんに聞いてみよう。』
ちょうど台車を押して、倉庫から出てきたので聞いてみることにした。
店員は紺色のエプロンのポケットからLED電球を複数取り出すと、
『サイズはどの大きさですか?』
と聞くと、『こないだ簡易ダイアグ買われたお客様ですね。』と言われた。
どうやら私はこのお店で買い物をしていたようだった。
記憶は無いが、買った商品は覚えている不思議な感覚。
LED電球のような小物の万引きが多すぎて店員が持ち歩いているようだった。
買い物を終えると、外はすでに暗くなっていた。
帰り道が同じ方向らしくおじさんの車で送ってくれることになった。
自動車メーカー各社は新型車の『デザイン』の開発をやめた代わりに、今まで販売された車種の復刻版の販売をしていそうだ。
今まで販売された車なら新車で購入する事が出来るとのことだが、エンジン本体を含めた内部機関は常に改良、開発されており、昭和車の車体に最新のエンジンやハイブリッドモデル等もできるので、旧車?と言われるのはデザインだけらしい。
話を聞きながら気になったのは、夜にも関わらず街灯が一切無く車のヘッドライトが唯一の灯りという点。
ホテルに帰るとすぐに大広間に集まるようにとのアナウンスが流れた。
しかし大半の者は、『もう時間が無い』と言って拒否した。
私はとりあえず指示に従い大広間へと向かった。
結局は十人前後しか指定の場所には来なかった。
資料を配布しているようで私の手元にも紙が来たが、ただの白紙で何も書いていなかった。
前に並んでいた人が『何にも書いてませんね?何なのでしょうね?』と同じ白紙を裏表見せてきた。
しかしそこで私はネコに起こされて目覚めてしまった。
通常は目覚めると【夢】は忘れてしまうが、記憶が薄れないのも存在する。
明晰夢のため自由がある程度利くが、何をしてもよいというわけでは無い。
『夢なのに好き勝手なことをしないんだな』と言われたことがある。
【現世】で死んでしまったら、似たような世界から再開するのではないだろうか?
それこそ無間地獄だろう・・・・・