今週のお題「ピザ」
宅配ピザは十数キロ離れた隣の地区から来ます。その間にやらなければならない事があります。
玄関にたくさん靴を出します。休日の一足しかないエドウィンのスニーカー、仕事で履いている小汚い皮靴、歳の離れた兄妹が置いて行ったギャルみたいなサンダル、死んだ母ちゃんの婦人靴など並べます。
家の前に父親の車と軽バン、私の車と家で預かっている兄妹の車を出します。
テレビの音量を大きめにして、あとはピザを来るのを待つだけです。
呼び鈴が鳴ると、『ピザ来たよ~』と大きな声で呼びかけます。
ピザ屋さんにお金を払ったら、『誰か~取りにきて~』と言いながら扉を開けて呼びかけます。
たまに父親が家にいるくらいで、基本私は一人暮らしです。
さもみんなと食べるかのように装うのは、寂しさを紛らわすと同時にピザの宅配の人に『こいつひとりでこんなに食うのか?』と思われないようにするためです。
仮に父親が家にいたとしても、ピザなんて食べません。
これは、お笑い芸人の麒麟の川島明さんも同じことをしていたらしく、ラジオで語っていました。
ピザデブの私がひとりでたくさんのピザをむさぼる姿は、一番一緒に過ごす時間の長い二匹のネコがチーズの匂いの届かない遠くから、冷やかな眼差しで見守ってくれます。