『コーヒールンバ』の日本語版の歌詞に出てくる『アラブの偉いお坊さん』は、恋を忘れた『哀れな男』に『しびれるような香りいっぱいのこはく色をした』飲み物を教えた。(珈琲と思われる)
男は珈琲に何か入れられたのかカフェインの刺激なのか知らないが、気が狂ったのか若いむすめの虜となった。
その坊さんが今度はどうやら私を標的にしたらしい。
先月から新人で二十歳の若い娘が入社した。美人や可愛いかと言われるとそうではない、アイドルで言うと中央張れないが後ろで目立たなく踊っている人数合わせで、女優とまではいかないが『一言』セリフをもらえそうなモブキャラ的なタイプだ。
私は彼女と組んで教えながら仕事をすることになった。
最初は私の【変人】ぶりに驚いた様子だったが、次第に慣れると私の謎の部分が気になるようで『質問』の数が増えていった。
共通の思考が一致する事が多く、お互いの笑顔が増えていった。
でも彼女は目の前のとっつぁん坊やが自分の父親となんら変わりのない年齢だと恐らくは気づいていない。
私も立派な昭和のおっさんなのだ。
馬鹿な気を起こさないよう自制するとともに、早く高給取りのイケメンでも見つけて幸せになってほしいと願う。