今週のお題「わたしの節分」
幼稚園の時の豆まきが恐ろしかった。こどもだったからとかそのような類のものではないのですよ。普通は豆をまいたら鬼は逃げていくものですが、鬼が本気で反撃してくるんですよ。最初は本当に馬鹿にしていたんですよ、『近所のおじいちゃんたちがどうせ鬼やるんだろ?』って、いい顔して写真写っておけばいいんだよって思っていた。
いざ引き戸が勢いよく『バーーン!』と開け放たれ、3匹の鬼が『うおーーーー』で唸った。スーパーで貰って来た鬼のお面に、赤、青、黒のジャージに運動会の時のビブスを付けて、こども用のプラスチック製のバットのお粗末な出で立ちに幼い僕たちは声を出して笑った。
鬼の背中に落花生をぶつけると、振り向き仁王立ちした後にプラスチック製のバットをフルスイングしてきた。空を切った風が頬にあたると、本気で叩きに来ている事がこどもながらにもわかった。
尻を思いっきりフルスイングで叩かれて泣きわめく声が響き渡ると、さっきまでの笑顔は皆消えて青ざめていくのがわかった。
鬼は怒鳴りながらバットで床を激しく叩きながら迫ってくる、豆だけではなくマスごと投げつけたり、こっちもおもちゃのバットを持ってきたり応戦した。
トイレの個室に隠れた子を必要以上に戸をガンガンバットで叩く黒いジャージ鬼にバケツをぶつけてやった。
私も赤い鬼に思いっきり手の甲をバットで叩かれた。近くにあった木の積み木を投げつけて応戦したりした。
『泣け!叫べ!喚け!そして死ね!』の鬼本来の基本行動を忠実に守る3匹。
しかし突如聞こえてきたサイレン音に鬼はなぜか、一目散に逃げて行った。
どうやら階段から落ちてけがをした子が出て、救急車が呼ばれたようだ。
担架に乗せられて運ばれる園児、こんな状況に至るまで何も知らず職員室で談笑していた教諭と園長先生たち・・・・・・
今思えば昭和っておそろしいですね。