ニートやひきこもりと言われる言葉は、比較的最近に使われるようになった言葉ですね。しかし単語が使われるようになる以前から、このような状態の方々はいらっしゃったわけです。
今現在でニートやひきこもりと言われる生活をされていらっしゃる人や、これからご覧になられる方々へ誤解のないように申し上げます。
今から記載される内容は、私が実際にお会いし本人や家族等の周辺の人たちから実際に聞いた内容を元に記したものです。
ニートや引きこもりと言ったものを、さらしものにしたり馬鹿にしたりするものではありません。
ケース1 ウラシマさん(仮名) 【54歳 男性】
ウラシマさんの家は、坂の上の道の狭い集落にある。仕事で3年半くらい前から定期的にお伺いしているが、実際にお会いしたのは数回しかない。
古い家が密集した集落でひときわウラシマさんの家は古く見える。周辺の家々は古いながらもリフォームや外装補修されているが、ウラシマさん宅は築50年近く経つが恐らく手つかずであろう感じを醸し出している。
以前に役場の職員が私に、『すみませんがこちらのお宅は空き家でしょうか?』と尋ねられた事があったが、勝手に玄関を開けて物を置いて行くという依頼のためウラシマさんが、この家に住んでいるのか、別に住居があるのかは実際のところはわからなかった。
それくらい生活感がないのだ。
ある日いつものように玄関の引き戸を開けると、偶然ウラシマさんいた。
ウラシマさんは、アニメちびまるこちゃんの登場人物のまるこのおじいちゃんのお友達の中野小心というキャラクターに似ていて、『おはようございます』と小声でつぶやくとそそくさと引っこんでいってしまった。
電話では普通に会話して特に変わったことはないのに、実際に会うと失礼ながら最初は、変なおじさんだなぁ~と思ってしまった。
メモ等で置き手紙したりしているうちに、2回目からはちょくちょく話しかけてくるようになった。
ウラシマさんが引きこもりになった経緯
ウラシマさんの近所にウラシマさんの生活の面倒を見ている叔母さんが住んでいる。この叔母さんが事情を説明してくれた。
ウラシマさんは有名大学を卒業後に、東京の大企業に就職し若くして管理職になったエリートだったらしい。帰省の際には高級車が家の前に停められていて、田舎の人々を驚かせたそうだ。
しかし二十代後半の時に、婚約者を連れて実家に帰省した際に結婚を大反対されてから鬱状態になり今の状態になってしまったらしい。
ちなみに結婚の反対の理由は、家柄が違いすぎるかららしい。
ウラシマ家は裕福でそれなりに格式がある御家柄なので釣り合わないと、親族もこぞって反対だったようです。
現在のウラシマさん
25年近くひきこもり状態だったウラシマさんでしたが、3年ほど前に母親が他界し現在は近所に住む叔母さんが生活の面倒を見ています。
その頃からインターネットを使い働き始めたそうです。現在は経済的にも自立し収入もそこそこあるらしく外出もするようになり、叔母さんにもお金をくれるとのことでした。