呆丈記

呆れたものがたり

天職希望

 わが街では最近、老朽化による水道管の入れ替え工事が市内のいたる所で行われている。当然それに伴う道路の通行への支障があちらこちらで発生し、仕方がないことだが車を使う仕事の人や住民が不便を被っている。

 

 

そんな中、とばっちりを受けるのは決まって交通誘導の警備員さんが多いのではなかろうか?

「まだ待つのか!」「いつまで工事やんの!」「うるさいんだけど!」決して警備員の人は、悪くないがこのような文句の引き受け役になってしまう。

 

交通警備ではないが私もアルバイトで、港湾巡回警備をやったことがあります。こちらの場合は時間の経過が遅く感じて辛すぎました。寒いし、足は痛くなるし、何より一台も車すら来ないし、ここにいて自分は意味があるのか?と思いながら交代を待つ時間の長さは地獄でした。

 

しかしそれとは逆に、水道管工事の警備員の人は常に車が来て忙しそうだった。

そんな様子を離れたところから祖母と孫らしき2人が見ていた。おばあちゃんらしき人は孫に「勉強しないとああゆう仕事しかできないんだよ。」「あんな大変な仕事したくなかったら、勉強を一生懸命して大学に行かないと」と言い聞かせていた。

そう言い残し、祖母は家に入って行ったが孫は通行を待つ車と交通誘導の警備員の仕事ぶりを楽しそうにいつまでも眺めていた。

 

 この日本にどのくらいの数の職種があるのだろうか?社会的な地位や、年収ばかりが良い仕事だと目が行きがちだけど、少なくとも世の中や人のためにやる仕事に秀劣や上下をつけちゃいけないと思う。どんな仕事であれ、ある程度の収入を得ることができ、誇りを持ってその仕事を続けていこうと思えるならば、犯罪や詐欺などで収入を得ようとする輩はそうそういないと思うんだけどなぁ。