呆丈記

呆れたものがたり

となりの芝生は輝彦と優

 人のものは何でもよく見えるものです。見える上っ面からの妄想が膨らみ、真実とはあさっての方に向かうのです。近所に寿司屋の出前が来れば、カーテンをたくり窓に張り付く、風呂を覗く助平の如く妄想が膨らみそれはやがて虚しさに変わり、こころを蝕むのデス

 聞き耳立てた立ち話、『家のローン』から妄想するあったかい家庭の主に、己を同一化させ人生設計をする。幻想の受験生の娘の合格発表を見に行き大喜びで電話を時報に掛けて喜びを伝える、「春から娘が東京の大学に・・・」今日はお祝いと、買い込んだすきやき用の牛肉をぶら下げ小汚いアパートに消える。二階の小部屋の明かりが灯り、そして間もなく消えた。

 昼に広げた愛妻弁当?「おいしそうですね!」と言うと、ニヤニヤうれしそう。

度々会話に出てくる【奥さん】は、結構しっかりした倹約家の印象があった。

自称地方単身赴任の彼の中には、その【奥さん】は確実に存在している。こうした独身者にも最近ではすっかり驚くことも無くなってしまった。