呆丈記

呆れたものがたり

観光気分で行く葬式でやらかす

 日本古来の他、世界各国においても様々な形式がある葬儀。

 

亡くなった大切な家族・そして友人・仲間を弔い、あの世へと送り出す重要な儀式である。

 

深い悲しみの中で執り行われる葬儀様式には、それを行う人たちの死生観、宗教観が深く反映される。

 

 ひとりの人間の人生の締めくくりにふさわしい集大成でもある祭儀に似つかわしくない『おっさん衆』が・・・・・

 

 

 

 よくわからないが会社関係者の葬儀に出席することになった。

 

なぜ『よくわからない』かと言うところをこれから説明していこうと思います。

 

 

会社からは私を含め、3人のおっさんが出席することになったらしいです。

(なぜ?どのように選出されたのかは謎)

 

 

  • 【日 時】 令和三年二月二十日 土曜日
  • 【時 刻】 午後四時開始?(正確な時刻は結局わからずじまい)
  • 【場 所】 車で一時間弱のところにある小さな村のお寺
  • 【喪 主】 不明(代表で聞いた奴が忘れてしまった。)
  • 【目 的】 ちょっと顔を出す程度でいいらしい。

 

私が聞いていた内容はこの程度だったが、当日3日前に突然『そういや言ってなかったっけ?あぁ忘れてたや』と言って伝えられた。

 

 

この時点すでにもうやばい雰囲気がお解りいただけるだろうか・・・・・

 

 

一昨年に母親が死んで、その時に着た喪服が面倒臭いので押入れの布団の上に広げて置いて『落ち着いたら片付けよう』と思っていたら、両端を換気のために15センチ程開けていた押入れの戸から侵入したネコが、喪服の上でゴロンゴロンしてお漏らしして着られる状態ではなくなっていました。

 

 

 

www.koekisha.co.jp

 

 

参 列 当 日

 

私は当然準備が間に合わずいつもの紺色の作業着に黒のネクタイという、やっつけ装いで参列する羽目になってしまいましたが、迎えにきた同僚を見てぶっ飛びました。

 

 

彼は(Nちゃん)黒いフリースに黄色い長靴、赤いマフラーという出で立ちで、なんだか安心しました。

 

 

そしてもう一人は、当日の朝になって突然連絡が取れなくなったそうです。

 

 

仕方なくふたりで出発することになりました。

 

 

代表で聞いたNちゃんの話によると、死んだのはちょうど生後100日の乳児らしく、『100日後に死ぬ赤ちゃん』とか不謹慎極まり無いことを連呼していた。

 

 

車を30分も走らせた頃だろう・・・コロナの影響で閑散とした道の駅が目に入ってきた。

 

 

『ひでぇもんだ、いつもは大賑わいの道の駅も今じゃあスカスカよぉ』

 

 

我々は無意識のうちに『アイスクリーム』ののぼりに釣られて、そこへ吸い込まれていった。

 

 

 

アイスの売り子は『クッキングアイドルまいんちゃん』似で、おっさんらは『大変だけどがんばってね』とまいんちゃんにハマっています。

 

奥から母親なのか経営者なのかブルドックおばさんが現れ、我々は逃げるように道の駅をあとにしました。

 

 

車は山道に入る、周囲からはお店や住宅街が消えた。

見えるのは雪に一面に覆われた『田んぼ』『畑』、『農家の倉庫』くらい・・・・・

 

 

あとは両サイドに高さ2メートルくらいのガードレールのような雪の壁が延々とつづく。

 

 

向うに何か見えてきた、退屈で飽きてきた道中に待ってましたと言うように現れた『きのこ』の文字。

 

 

またしても我々は吸い込まれていった。

 

 

観光バスが何台も入れるくらいの駐車場も、コロナのせいで雪捨て場と化し大きな雪の山がそびえ立っています。

 

 

『てんぷらうまそうだな』

 

 

我々は天ぷらも盛り合わせを注文し、コーラを飲みながら堪能した。

 

 

『あれ?詳細を書いた紙が無いぞ。』

 

 

Nちゃんは汚い車のなかを漁りながらブツブツ呟いている。

 

 

『あぁ!あった・・・けど・・・・』

 

 

Nちゃんは場所等の詳細が書かれた紙の裏に競馬の予想と買う予定の馬券がメモされていて、外したのか紙はグシャグシャになり破かれていた。

 

 

そしてよりによって、破かれていた個所はお寺の名前と住所が書かれていたであろう部分・・・・・

 

 

冷や汗かきながらも取りあえず、【村】を目指した。

 

 

ようやく焦り出した我々だったがNちゃんが、落ち着いた口調でぼそりとつぶやいた。

 

 

ダッシュボードの中に何か封筒ない?

 

 

言っている意味が解らなかったが、私は言われるがままダッシュボードを漁った。

 

『これしかないけど・・・』

 

私は一番そこで折れ曲がって押し込まっていた茶封筒を伸ばして見せた。

 

 

『千円でいいよね?五百円ずつ入れよう。』

 

 

まさかと思うがこのしわくちゃの茶封筒に香典を入れる気だなぁとすぐにピンときました。しかし村の入口の『カントリーサイン』を見て、コンビニすら無いだろうと察して小銭で五百円玉を一枚ずつ入れました。(お互いに札が無い)

 

 

それからは村にあるお寺を片っ端から周ろうという作戦に出たのです。

 

 

不幸中の幸いとはまさにこのことで、二つ目の寺で葬儀が行われているとの情報を入手して教えていただいたお寺に向かった。

 

 

 

お寺に着くとたしかに葬儀か何かやっていたであろう痕跡はあったが、坊さん含め人っ子一人いないのです。

 

 

『か・帰えろっか?』

 

 

どちらからともなく出た言葉。

 

 

作業着のおっさんと黄色い長靴のフリースおじさんは結局誰の葬儀に参列しようとしていたのかわからぬまま、そそくさと寺をあとにしたのです。

 

 

ハナから来ないおっさん、観光気分でルンルンしている作業着の作者、フリース長靴で競馬の事で頭が一杯のおっさん。

 

 

最低な3匹のおっさんを生後わずか100日で亡くなった赤ん坊は何を思うのでしょう・・・・

 

 

 

亡くなったお子さんのご冥福をお祈りいたします。