呆丈記

呆れたものがたり

お察し天狗

  私は底辺無敵の人、お盆も連勤無敵のパート。

代替え数多の消耗品。今日も馬車馬は必死に消化試合をこなす。

 

 

仕事中に出くわした知人の嫌味な自慢。

 

『お盆は嫁の両親連れてビーチでキャンプ三昧だぜぇ』

『俺はこの夏を待っていた!そのために毎日、仕事終わりにジョイフィットに通い鍛えたこの身体を見よ!』

 

『あとはビーチで体を焼くだけだぜぇい』

 

『最近息子がおまえのようにぽっちゃりしてきたんで、あいつも浜で焼くぜぃ』

 

『それより休みも給料も少ないのに、ニヤニヤして頭だいじょうぶか?』

 

『それよりこのランクルいいぜ!チョーオススメ!これなら牽引キャンピングカーも余裕だぜ』

 

『俺の仕事より忙しいお盆休みが始まるぜぃ』

 

 

天狗は好きなだけマウントを取って満足したのか満面の笑みが太陽と重なった。

 

ランドクルーザーの極太の4本出しマフラーが、へたくそな吹奏楽部員の楽器の如く下品で汚いハーモニーを奏でながら小さくなってゆく。

 

 

 

きっと彼の息子はビーチキャンプなんか行きたくはないんだろうね。

だって彼が外に出るのは通学以外だと『ポケモンGO!』するときと『セブンイレブン』行くくらい・・・・・

 

そんな彼を浜で魚貝類を焼くように焼くんだと・・・・・

 

嫁の親もお盆には『海』に入るな!って世代じゃないんだな・・・・・

 

 

 

 

天狗にひと言伝え忘れた、いくら鍛えようが最期はビーチではなく火葬場で焼かれるんだよ。