婚活をしていた同級生から活動休止宣言があった。
こんなの前代未聞で聞いたことがない。結婚相談所の登録も解除したようで事実上の終活に向かっての歩みともとれる。
彼は見た目も私と似たり寄ったりで、収入もどっこいどっこいである。
要はお互いカッコ悪いびんぼうなんだよね。
いらない残り物を詰めた福袋のような我々が破格でも売れる要素は微塵もないのだ。
『せめて年収でも高ければ・・・』彼はそう言うが、自分以外の魅力(お金目当て)に惹かれてきた来たお嫁さんを生涯愛せますか?その魅力が輝きを失った時は容赦なく捨てられますぞ。と少々どぎつい正論を述べると一瞬静まり返った後、ふたりで落胆した。
我々はこういう運命だったのです。不景気や就職超氷河期も相まって、普通の人生を歩めなかった地味なオタク青年は幼稚なおっさんへと進化した。
『たのしい孤独死考えてくれよ』彼は私にそう笑顔で問いかけると思わず大爆笑した。
真冬の昼下がりにお天道さまもニッコリあたたかくのふたりの背中に日差しを送ってくれた。
あとがき
この日本にはこのような境遇の人間で溢れかえっています。
多くの人がそれぞれ闇を抱え、孤独や不安を胸にひっそりと生きています。
つらくて苦しい毎日は、多くの人が共有していることなのです。
朝起きて『また嫌な一日が始まる』と思っても、全く同じことを思っている者が同じ時間帯に大勢存在しているのです。
それは即ちひとりだけではないということ。
少なくとも呆丈記の読者の方々には、抜け駆けして【犯罪】に及んだり【自殺】で命を落とすようなことはあってほしくないのです。